10リットル ウイスキー樽、樽台

東京都内でスコッチウイスキーを中心に様々なお酒の販売を手掛けるスコッチモルト販売株式会社様からご依頼いただき、
10リットルのウイスキー樽と樽台を制作しました。
ご依頼をいただく前から、おかげさまでは木樽を制作していました。
十勝地方はワインやウイスキーの生産地ですが樽は外国製に頼っており、樽材として最高級のミズナラは北海道が一大産地であるにもかかわらず活かせていないという現状があります。
“お酒も樽もすべて北海道産”を実現しようと、試行錯誤を繰り返しながら作り上げたものです。
225リットルの試作からはじめ、様々な観点から10リットルが最良との判断に至りました。
その後、令和7年度の「とかちビジネスチャレンジ補助金(公益財団法人とかち財団)」に採択され、
“宮大工の技で作る十勝産木材を使った10リットル樽”が実現しました。
おかげさまの樽をご覧になった依頼者様からは、他社製の樽に比べて形が美しく精巧との評価をいただき、
今回はバーのカウンターなど卓上で使用するため、樽台とセットでの制作を希望されました。
おかげさまの樽は、曲木で作っていることが最大の特徴です。
10リットルサイズの短い材料を曲げることは難しい挑戦でしたが、木を高温で蒸して曲げる曲木工法を用いて工夫を重ねました。
曲げた板同士を精度高く組み合わせることで、間に何かを挟んだり詰めたりすること無く漏れも防ぎます。
社寺建築で屋根などに多用する曲線を作り出す技が、独創性のある曲線美と漏れのない仕組みを実現しました。
製材にも工夫があります。
樽に使えるのは柾目と呼ばれる部分のみのため、材の使用が限定的になりがちなのですが、
独自の製材所を持つおかげさまでは、十勝産のミズナラを丸太ごと購入し、効率の良い木取りを何度も考察することで、製材から加工まで木の無駄を最小限に抑えることができました。
オリジナルの樽台は新たにデザインし、組み木で作成しました。
樽の余剰分を使用することで貴重な楢材を余すところなく生かし、統一感のあるセットに仕上げました。
依頼者様には飲食店のほかイベントなど様々なシチュエーションで活用いただいています。
今後の展望は、金輪を使わない樽作りへの挑戦です。
木組みの技術を生かして、既存の型にはまらない樽を作ることができたら面白いと考えます。
新しい技術、名産品、産業をも生み出せる、大きな可能性を秘めたおかげさまの木樽。
これからの展開が楽しみです。
詳細
所在地 | 東京都 |
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名称 | 10リットル ウイスキー樽、樽台 |
内容 | 木樽および樽台設計、施工 |
竣工 | 2024-2025 |